ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

白玲戦(奈良対局)

10月1日に白玲戦第5局が開催された。

両者2勝2敗を受けての新たな3番勝負だ

女流棋戦として初めてとなる7番勝負がらしくもつれて興業的にもきっと良いことなのだろう。

 

ところで西山白玲は9月28日に倉敷藤花の挑戦者決定戦で勝利した。

相手は香川愛生女流4段。西山さんの振り飛車でみていると何か好きなように指して勝っていた印象がある。香川さんは相振り飛車も上手いのになぜ指さなかったのかと思った。きっと相振りでは西山さんに「一日の長」があるとみたのかもしれない。ウオーズあたりをみると何でも指してフアンを楽しまさせてくれている。香川さんにとって久々の大舞台のチャンスだったのに残念な結果だった。

 

さて、本局の将棋のほうだ。

先手・里見5冠の中飛車対後手・西山白玲の3間飛車で始まった。

ほどなくして互いに向い飛車に振り直して、51手目先手が66歩と打ったところで昼食休憩となった局面です。戦況も消費時間もほぼ互角といったところか。

互角の中、中盤戦に突入した。先手として玉頭に26歩と垂れ歩がいるなか、65手目75歩と再びこの筋の攻めに転じた。その後の一連の手順でどうやら先手が少し良いようだ。後手も80手目急所の69角をみせる。先手36銀と受けるが後手は58角成以下玉頭に殺到した。どちらが読み勝っているのか見ていてハラハラドキドキの終盤戦だった。勝負は117手で里見5冠の勝。西山さんとしてはカド番に追い込まれたが第6局も好局を期待したい。

 

今回の詰将棋:23手詰

 

詰将棋の解答(9月ブログ分)

9月2日分:81銀 同玉 63馬 72歩 73桂 82玉 81金 92玉 91金 同玉 92香 82玉 81桂成 同玉 91金 82玉 73角 同歩 81馬 まで19手詰

 

9月3日分:81銀 82玉 71銀 81玉 82銀打 同角 同銀成 同玉 71角 72玉 73銀 同金 52飛成 同角 62金 81玉 73桂生 92玉 93金 まで19手詰

 

9月10日分:84桂 同歩 83角 同玉 75桂 93玉 82馬 同玉 83銀 71玉 51飛 61金引 72銀打 62玉 61銀成 73玉 63(74)金 まで17手詰

 

9月12日分:42銀 61玉 52と 同銀 62歩 同銀 72飛成 同玉 82角成 63玉 64金 まで11手詰

 

9月15日分:82銀 61玉 62桂成 同玉 73銀生 53玉 64銀成 同玉 65金 53玉 43金 62玉 63銀 73玉 74金 82玉 72銀成 92玉 84桂 同歩 83銀 まで21手詰

 

9月17日分:93角 同桂 73銀 同金 94桂 92玉 91飛 同玉 82角 81玉 73桂生 72玉 71金 62玉 61桂成 まで15手詰

 

 

5分に戻すかマジック1か

9月17日、白玲戦第4局が札幌市で開催された。

先手西山朋佳白玲が3間飛車vs後手里見香奈女流5冠が向い飛車で始まった。

囲いは先手が金無双気味で後手が金美濃だが居玉である。

下記図は昼食休憩に入った局面で46手目に後手が54銀と指したところである。

攻めれば歩損をしがちだが先手は一歩あったのを67手目54歩と打った。これが好手。以下、73手目66飛で54歩垂れ歩付きの飛角銀が玉頭ににらみを効かし先手よしを素人目にも実感した。以下、西山さんらしい豪快な寄せで109手で勝利した。

 総じて筋違いに打った74角、後手の61角の働きの差や、金無双対居玉の差などが先手の指しやすさに通じたのではないだろうか。

これで2勝2敗のタイ。あらためて3番勝負となる。観る将としては理想の展開である。

 

今回の詰将棋:15手詰

 

マイナビ女子オープン

9月15日に第16期マイナビ女子オープン本戦1回戦の一つが行われた。

先手伊藤沙恵女流名人vs後手岩根忍女流3段との一戦。

本来、居飛車党の伊藤女流名人は相手が振り飛車党と対戦するときはいつも楽しみにしている。それは相振り飛車に持ち込んで戦ってくれることが多いからである。

本局もそうなった。先手伊藤さんが向い飛車、後手岩根さんが3間飛車で始まった。

下記図は後手が58手目25桂と跳ねて昼食休憩に入った局面である。

ここまでの先手の消費時間がすごい。よほど相振りに精通しているのかしら。

各3時間の持ち時間だがなんとわずか15分しか使っていなかった。

さて戦局は先手が端をうまく攻めようとしているが後手はこれに対して3筋4筋からの攻めに活路を見出そうとした。いち早く端を突破した先手がその後もうまく差し回して99手で勝利した。次局はベスト4入りをかけて山根女流2段と対戦する。次も相振り飛車を期待してよさそうだ。


今回の詰将棋:21手詰

 

 

棋士名鑑より

今年の「振り飛車年鑑」が発行されるかどうかわからないので令和4年版「将棋年鑑」を買ってみた。そのなかに<棋士名鑑>というコーナーがある。

アンケートの一つに「好きな詰将棋作家がいれば教えてください」とある。

興味があったので統計をとってみた。

この質問は答える答えないは任意であり、むしろ無回答の棋士が多かった。

拾ってみたのは現役棋士女流棋士及び退役棋士を除く)である。

① 若島正 15票

② 浦野真彦 6票

③ 中田章道&伊藤果 5票

④ 桑原辰雄 3票

⑤ 伊藤看寿&勝浦修&赤羽守&海老原辰夫 2票

⑥  1票入った人が26人いた。

若島正さんがダントツ。将棋世界の表紙にかかわらずその実力のほどは棋界の知るところであろう。詰将棋のバイブル・伊藤宗看&伊藤看寿あたりがもう少し票がのびると思ったが意外。力強い詰将棋がプロ好み?か、桑原辰雄さんが3票入ったのは個人的に大変うれしいことだ。

今回の詰将棋:11手詰

 

正念場の第3局

白玲戦第3局が9月10日に指宿市で開催された。

先手・里見さんの中飛車vs後手西山さんの3間飛車で始まった。

 相振りにおける中飛車は指しこなすことがやや難しい面があり勢い他の位置へ振り直すことが多いものだ。相手が飛車を振るとわかりきっているなか、あえて中飛車にするというのはよほどの自信と共に愛着を持っていることが感じられる。

さて下記図は昼食休憩の局面で後手が32手目45角と打った局面である。

 指し掛けの局面より、先手は後手の狙いの26飛から67角成などを受けて85桂と跳ねて端攻めをうかがう。後手は84歩と催促してしてから端の状況を納める。先手の61手目52香を機に後手は猛反撃をして86手で先手の中段玉を詰ませた。
 里見さんの2連勝を受けてのこの対局は西山さんにとって正念場ともいえた。

7番勝負というのは得てして4タテで終わってしまうことが稀にある。

 これで彼女もほっとしていることだろう。観戦する側にとってはこれでますます熱い相振りの戦いを期待するとともに楽しみたいばかりである。

今回の詰将棋:17手詰



期待通りの相振り飛車

9月3日に、白玲戦第2局が行われた。

先手・西山白玲のいきなり3間飛車に対して、後手は角交換を受けての向い飛車となった。囲いは先手が2筋を厚く金銀で守るのに対して、後手はいわゆる「里見金無双」の布陣で対応した。図は先手が55手目に56銀と角当りにでた局面で昼食休憩となった。

 後手の48手目45角に対して先手は49角と対応したが後手の角の方が攻めの主導権を握っているように感じた。先手も63手目ふわっと85飛と浮いて攻めの糸口をつかむなど互いに見ごたえのある攻防が続いたがこの熱戦も126手で後手が制した。里見さんの76手目28歩や100手目63玉とかわした手が特に印象に残った。

来週9月10日には第3局があるが西山さんにはなんとか一番いれてほしいものである。どちらに肩入れするわけでもなく私は7局の相振り飛車が見たいだけである。

 

今回の詰将棋:19手詰