ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

女流王座戦挑戦者決定戦

9月17日に標記の棋戦が行われた。

里見香奈女流4冠vs伊藤沙恵女流3段の一戦(相振り飛車)。

女流棋界も「白玲戦」という新しい棋戦ができていつのまにか本家と同じ8大タイトル棋戦となった。近年の女流棋界の充実ぶりには目を見張るものがある。

私なりにその要因を考えてみた。

里見4冠と西山3冠という両横綱振り飛車党である。このことはあの昭和時代の大山・升田(振り飛車もこなしていた)の両巨頭の時代を彷彿させるものがある。

振り飛車党が多いアマの将棋フアンをひきつけてやまないものがある。

そこらあたりにスポンサーも注目したのではないだろうか。

もし女流棋界が居飛車主体の世界ならここまで私も注目しなかったことだけは確かなのである。

さて、対局の方へ目を移してみると途中図は先手里見4冠が45手目36歩と指して昼食休憩に入った。

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再開後も難しい中盤の応酬が続いていたが後手66手目の35銀に対して先手の41銀から31角で指しやすくなったようだ。以下、後手は入玉模様に指したが109手で先手が勝利した。

今回の詰将棋:21手詰

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いつか出る、やっと出る。

マイナビの出版物に「将棋戦型別名局集」というシリーズものがある。

同社の将棋情報局より次のPR記事がでた。

いつか出る本どーん!!

将棋戦型別名局集9 相振り飛車名局集

藤井猛九段編集 ・ 相振り飛車の名局100局収録!

 

この種の本を私はどんなに待ち望んだことだろう。

振り飛車の実戦集は実は過去に例がある。

昭和58年(1983年)に日本将棋連盟より出版されている。

本の名は「力戦 相振飛車の戦い」で100局収録。

この時から今回までなんと38年の歳月が流れているのだ。

だから「いつか出る」というよりも「やっと出る」という感じなのだ。

相振りの格別さが、かけがえのないものとして読み手を突くので買う。

相振り好きの私が買わずに誰が買う。

書店に並んだらイの一番に買う。

永久保存用とボロボロになるまで棋譜並べ用に2冊買う。

 

今回の詰将棋:21手詰

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『創発』記念・懸賞詰将棋

詰将棋全国大会が12年に一度九州開催となる。

2020年がその当番の年だった。

コロナ渦で2020年、2021年と2年連続で中止となった。

開催できるホテル等を探す→押さえる→キャンセルする。

開催方法を考える→いろんな意見が出る→なかなかまとまらない。

この2年間、正直言って精神的に疲れた。

3年連続振りまわされたくないというのが現在の率直な気持ちだ。

そこで来年は次回担当の「名古屋」へ一旦バトンを渡したい。

その後、東京~大阪を経て地方でとなった時に再び福岡が手を上げてもいいのではないかと思っている。

これは私の個人的見解だが他のメンバーもきっと同じ思いではなかろうか。

 

さて全国大会へ併せて準備してきたものがある。

それが九州詰将棋作家グループによる詰将棋作品集だ。

本作りに関しては九州の地と直接関係がない倉敷市の小林尚樹氏に多大なるお世話になった。この場を借りて厚くお礼申し上げたい。

本のタイトルは『創発』(九Gとしては初めての本格的作品集)。

深浦康市九段には「序文」を書いていただいた。

本の入手方法。

・「詰パラ」経由の通販。

・ネットから「つみき書店」

・アカシヤ書店や将棋会館でも入手可能。

 

本の発刊を記念して当ブログで懸賞詰将棋を出題します。

正解者のなかより3名の方へ本書を進呈します。

解答方法はメールで受け付けます。

初手、16手目、最終手、詰手数の4つを記載すれば可。

締め切り 9月19日(この日は幻の詰将棋全国大会となった日)

tumeparashou*yahoo.co.jp(*を@で)

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詰将棋の解答(8月ブログ分)

8月1日 *76角 85金 86桂 83玉 92銀 同金 81飛成 82金84香 同金 94角 同金 82龍 同玉 94桂 83玉 84金 72玉 82金まで19手詰

8月2日 *82飛成 61玉 53桂 51玉 62龍 同玉 71角 73玉 82角成 62玉 72馬 53玉 54金まで13手詰

8月5日 *73龍 同銀 83銀 61玉 72銀打 61玉 42銀 同玉 53角成 同玉 43飛 64玉 63飛成 75玉 85金 同玉 74龍 同銀 同銀生 95玉 84銀 同玉 85金 93玉 83銀成 まで25手詰

8月10日 *23金打 同角 23銀成 14玉 13成銀 24玉 14成銀 同玉 32角 24玉 23角成 まで11手詰

8月11日 *52銀 同金 62角 同銀 同桂成 同金 42銀 同玉 34桂31玉 42金 21玉 32金 同玉 54角 41玉 42桂成 同玉 62龍 52合 32金 まで21手詰

8月12日 *64桂 82玉 71飛成 同玉 72銀 同金 同桂成 同玉 64桂 63玉 54金 62玉 52桂成 同玉 63金 同玉 64香 72玉 83金 71玉 72歩 81玉 82香 まで23手詰

8月14日 *64桂 同金 54角 63歩 61銀 同金 63馬 同金 64桂 62玉 52金 同金 同桂成 同玉 43金 62玉 53銀 71玉 72歩 同玉 63角成 同玉 64金 72玉 62銀成 同玉 53桂成 71玉 72歩 同玉 63金 71玉 62成桂 まで33手詰

8月17日*13金 同香 33金 同玉 22銀 23玉 33金 同金 13銀成 同玉 14香 同玉 12飛成 13合 26桂 まで15手詰

 

空気、合駒しても

Youtubeチャンネルで藤森哲也5段の「将棋放浪記」が人気だ。

居飛車党の彼が居飛車に徹したら私はそれほど気にかけなかったことだろう。

2020・12・12公開の「負けるまで4間飛車スペシャル」。

2021・5・9公開の「ひたすら中飛車スペシャル」。

この二つが今の私には永久保存版だ。詰将棋をやりながら、これらをバックグランドみたいに再生して楽しんでいる。

次は3間飛車ではないだろうか、早晩是非配信していただきたいものだ。

 

この「将棋放浪記」は単行本も7月に出版されたので購入している。

本の内容は動画から選りすぐった104題の「次の一手」形式となっている。

動画の進行中、指しながら彼のコメントもなかなか面白い。それらの言葉を本のなかでも「藤森用語辞典」としてまとめられている。

そのなかに載っていなかったが次の言葉が私はいたく気に入っている。

「なに合駒しても、空気合駒しても詰み」という表現だ。

 

詰将棋の世界でも「何を合駒しても詰み」というのは当然生じる。

特に収束3手での表現は「??合」という風に表現する。または一番やすい駒すなわち「??歩」などと表現する場合もある。

作図の立場としては合駒非限定はできたら避けたいところではある。

今回の詰将棋:15手詰

    *空気合駒してもが収束にあらわれます。

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百日紅(さるすべり)

関西の詰将棋グループの創棋会が50周年記念として標記の詰将棋作品集を発行した。

作者数はプロ棋士8名を含む39人。一人最大5作品で出題総数は187題となる。

私も原稿を書いたこともあり多分一足早く本書を入手した。

 

本の中身をざっと見てみると詰将棋出題者が名前順となっていたので私が一番最初の登場だった。そのほか、随筆や創棋会の活動記録などかなり読み応えがある。

この種の本は詰パラの広告を通して入手するのが通例だが今回はマイナビ出版(将棋情報局)も取り扱ってくれるそうだ。こういうことは極めてまれでおそらく初めてのことだろう。これはひとえに藤井聡太2冠を始め、関西所属の棋士8名が参加していることが最大の要因だろう。

 

さて、この本の楽しみかたの一つを紹介しよう。

それはいきなり解説から読み始めるのだ。棋譜並べをするように作品の手順を目で追ったり、盤に並べたりするのだ。そして、その解説文を備に読む。

作者が解説しながらコラムやエピソード風に述べていることが多い。

船江恒平6段の解説文などはりっぱなエッセーになっていた。

このように、作者の人となりの一端を垣間見ることができるだろう。

 

今回の詰将棋:33手詰

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女流王座戦より

第11期女流王座戦の本戦トーナメントが進行中である。

8月12日行われた先手・里見香奈女流4冠vs後手・上田初美女流4段の一戦。

勝ったほうがベスト4へ進出する。

先手・中飛車vs後手・3間飛車の相振り飛車となった。

図は49手目先手が8筋の歩を交換して89飛と引いたところである。

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相振りにおける中飛車は指し方が難しいものだ。早晩、3間飛車か向かい飛車あたりに振り直すものだが本局はしばらく中飛車にいたために囲いを含めた金銀が一見バラバラである。それに比べて後手の囲いはしっかりしている。後手は36歩から46歩と突き捨てて46角と出た。角金交換をふくめて果敢に攻めたが先手は65手目82歩、69手目56角と好手を交えて107手で押し切った。

今回の詰将棋:23手詰

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