ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

歌を忘れたカナリヤ

最近、山根ことみ女流2段の将棋が変だ。

あくまで私の勝手な見方ではある。

居飛車の将棋ばかり指している。

女流王位戦の挑戦者になるまでは飛ぶ鳥を落とす勢いのある振り飛車党だった。

そのタイトル戦で里見さんに相振り飛車で3タテを喫したことがよほどショックだったのだろうか。

気分転換ということもあるのだろう。

レパートリーを拡げてみたいということもあるのだろう。

それにしても物事には限度というものがある。

居飛車にはまり戻ってこれなくなった男性棋士の例があるから、とても心配している。

詰将棋好きで振り飛車党、そんな棋士のタイプの彼女をひそかに応援してきた。

だから、やはり最近の彼女の将棋は変だ。

今回の詰将棋:21手詰

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伊藤流相振り飛車

8月10日に女流順位戦の先手・石本さくら女流2段vs後手・伊藤沙恵女流3段の一戦が行われた。先手のいきなりの3間飛車に対して後手は4間飛車で始まった。

振り飛車の対抗型で振り飛車側を持って将棋を指している伊藤さんを見たことはない。なぜか相振りだけは指す不思議な人だ。私は振り飛車の将棋しか追いかけないので伊藤さんの棋譜は相振りしか真剣にみたことがないということにもなる。

 さて途中図は後手80手目79角と打ったところである。

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 このあと、69歩と67歩の交換が入ってから46角成と馬ができたのが後手として大きかった。先手も66飛から端攻めを絡めて攻め合ったが116手で後手が競り勝った。 先手は玉形の差が如実に出た感じである。

今回の詰将棋:11手詰 

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渡りあえる振り飛車

8月4日、第70期王座戦1次予選より西山朋佳女流3冠vs富岡英作8段の一戦が行われた。

 戦型は先手が向い飛車vs後手が3間飛車の相振り飛車となった。

図は先手の76飛に対して後手が48手目65歩と突いて本格的な戦いになった。

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これに対して先手は82歩以下先行して攻めに転じて、なかなか見所のある中終盤の応酬が続いた。勝負は急所に打っていた飛車角が最後に功を奏し106手で後手が勝った。

今回の詰将棋:25手詰

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期待して相振り

7月31日第43期女流王将戦の本戦トーナメント2回戦が行われた。

先手・香川愛生女流4段vs後手・室谷由紀女流3段の一戦。

この二人なら相振りを期待するのが自然。熟知した戦法で中盤までは無難な駒組となった。

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図は後手が50手目に56歩と突いたところである。先手はあっさり同歩と取り79角成と馬を作らせた。そして、68角から67銀で一時的に馬を閉じ込める作戦をとる。後手、やや細い攻めでせまっていたが先手玉も中段に泳ぎだしたりして決め手を与えない。最後は先手9筋の端攻めが決まり159手の熱戦を制した。

今回の詰将棋:13手詰

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もつれて最終局

7月31日、恒例のアベマトーナメントが行われた。

稲葉チーム対斎藤チーム。

6人の中に1人ないし2人の振り飛車の可能性がある棋士がいると俄然、観る気が湧いてくるものだ。今回は久保9段と都成7段だった。

試合のほうは一時、稲葉チームが4勝1敗とリードし、そのまま早めに終わるかと思いきやそこから斎藤チームが3つ返して最終局(第9局)を迎えた。この対局が先手・都成7段vs後手・久保9段だった。

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後手の4間飛車で始まり途中図は86手目後手が64桂と打ったところである。対抗型というのに互いの玉の囲いが金無双である。ここから金無双を攻略するのに4枚の桂が盤上に乱舞する派手な展開となり見ていてどちらが勝ちそうなのか分からない終盤戦となったが146手で後手が勝利した。

今回の詰将棋:19手詰

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詰将棋の解答(7月ブログ分)

7月15日 *82角同 62玉 54桂 同金 71銀 51玉 62銀打 同金 同銀成 同玉 73角成 同銀 63金 61玉 52金打 71玉 62金上 同銀 82馬 まで19手詰

7月16日 *64桂 同歩 63金 同金 61馬 同玉 52銀 62玉 61金 72玉 63銀成 同玉 72角 同玉 62金打 まで15手詰

7月17日 *84桂 同歩 63銀 同金 同金 同金 64桂 同金 81銀 同玉 92金 72玉 82金 同玉 83銀 71玉 72金 まで17手詰

7月18日 *52歩成 同金 62銀 同金 43角 52歩 53桂打 同金 同桂生 62玉 72金 53玉 54金 42玉 32金 51玉 52角成 同玉 53歩 51玉 43桂 21手詰

7月19日*72銀 同金 61金 同金 同角成 同玉 52銀 同玉 44桂 同銀 43金 62玉 52金打 71玉 63桂打 同金 同桂生 72玉 62金打 まで19手詰

7月20日*82金 同銀 62桂成 同角 61銀 71玉 52銀生 51角 61金 72玉 64桂 同銀 63銀打 まで13手詰

加古川青流戦より

 7月20日に第11期加古川青流戦が行われた。

ベスト16より、先手・冨田誠也4段vs後手・貫島永州3段の一戦が相振りとなった。奨励会3段の人の将棋を観る機会はなかなかない。貫島3段はよく知らないが現在3段リーグの成績は8勝4敗で微妙な位置につけている。一方、冨田4段はこの対戦の前に里見香奈女流4冠を破ってのから引き続きの対局である。

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図は45手目に37銀と相手の飛に当てたところである。後手はこれを同飛成と切って以下同桂に36歩と攻めたが先手はほどなくして2枚飛車で攻めて寄せきってしまった。先手は駒組が立ち遅れ気味だったのでどうかと思ったが後手は相手に飛を2枚渡す展開がどうだったのだろう。形勢判断が私の棋力ではよくわからない将棋だった。

今回の詰将棋:13手詰

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