ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

最後の枠をかけて

 8月25日、ベスト4入りをかけて女流王座戦の準々決勝の4局目が行われた。先手・鈴木環那女流2段vs里見香奈女流4冠の一戦。

 後手の55歩位取り中飛車に対して先手は居飛車穴熊の作戦を採用した。途中図は昼食休憩に入った局面。58手目に後手が85桂と跳ねた局面である。

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  再開後、先手は46角と指し後手は55銀とぶつけて一気の捌き合いを目指した。まともに交換しては端に手がついている分だけ後手良しとみた先手は53歩から45金とかわしながら応じた。しかし、結果的に角金対飛銀の交換となった。ここからは互いに力の見せどころだったが後手は39角以下終始攻めのリードを取り続け102手で勝利した。

今回の詰将棋:11手詰(易しい合駒作品)

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清麗戦第5局

8月18日、第2期清麗戦第5局が行われた。先手・上田初美女流4段vs後手・里見香奈清麗。振り駒で後手番となった里見さんはゴキゲン中飛車中飛車をこれに対し先手の上田さんは超速銀の作戦をとった。途中図は昼食休憩に入った時の局面で63手目先手が36飛と指したところである。

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  この将棋は途中図が象徴しているように9筋の攻防が見所だった。どちらが良くなっているのやらよく分からない。特に後手の美濃の金銀を2枚の香ではがしたときなど先手が良いようにもみえたが146手で後手が勝ちとなった。今回の5番勝負は挑戦者が第3,4局を連続して返したときはその勢いで3タテするのではないかとも思われたが上田さんにとって残念な結果に終わった。

今回の詰将棋:15手詰

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裏芸の達人はやむごとなきものなり

 8月17日は女流王座戦準々決勝第3局がおこなわれた。先手・藤井奈々女流初段vs後手・伊藤沙恵女流3段の一戦。振り飛車党の藤井さんに対して居飛車党の伊藤さんが裏芸の相振り飛車をぶつけるかどうかがまず注目だがそれに応えてくれるところが彼女のえらいところだ。途中図は昼食休憩に入った局面である。50手目後手が24銀と援軍を繰り出した局面である。

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  序盤早々後手からの端攻めを防ぎつつ、先手は金銀をひきつれて玉との集団で盛り上がりながら受けていたという感じだ。その間、後手は2枚の「と金」を巧みに作る。100手目に後手は24角と出てから一気に局面がほぐれだした。「捌けば捌かれる」の言葉通り、お互いに適当な攻め駒が駒台にのり、新たな油断ならない局面を迎える。112手目56歩以下終盤に突入。49角から76角成と飛車を取った形が「詰めろ」とあっては勝負あった(134手で後手勝ち)。この将棋は藤井さんのねばり強い受けが印象に残る。後手の勝利は相振りの経験値が活きたからかもしれない。

今回の詰将棋:15手詰

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アベマトーナメントの再現?

 8月13日79C2順位戦3回戦が一斉におこなわれた。そのうちより、先手・今泉健司5段vs高野智史5段の一戦を紹介したい。ごきげん中飛車vs超速銀ではじまった。途中図は32手目後手が87銀成と切りこんだところである。

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この後86飛から同成銀となり、なんとこの「成銀」は84まで移動し、再び前進して77まで行った。ちょっとした成銀の軌跡といった感じである。将棋の方は終盤、先手の執拗な攻め、後手の粘り強い受けの応酬が続き、まるで二人が出演したアベマトーナメントでの戦いぶりを彷彿させるものがあった。観ていて面白いとはこんな将棋をいうのだろう。145手で先手が熱戦を制した。

今回の詰将棋:15手詰

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期待通りのすがすがしさ

 第10期女流王座戦本戦トーナメントはベスト8が出そろっている。8月12日は準々決勝第1局として先手・山根ことみ女流2段vs岩根忍女流3段の一戦である。二人は振り飛車党。期待通りの相振り飛車は見ていてすがすがしささえ感じられる。昼食休憩時の途中図は角交換の後、先手が再度66角と打ちすえたところである。

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 再開後、ほどなく後手は45桂と幸便に跳ねだし、先手玉のコビンから襲いかかった。先手は受けに徹し、互いに難しい中盤戦が続いた。先手は後手の攻撃をよくかわしたと思う。特に金無双の壁銀を引いての玉の早や逃げ、反撃含みの37角などで123手にて難敵に勝利した。

今回の詰将棋:17手詰

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詰将棋全国大会の福岡開催を断念

 来る9月21日に12年振りに九州開催となるはずだった標記の大会をコロナ禍により中止となった。

 我々、九州G(九州の詰将棋グループ)のメンバーは今次の状況下でも何とか開催に向けて大会のあり方に知恵を出し合いながら努力してきました。

 然し乍らコロナの第二波がこの夏、都会及び地方でも日増しにひどくなっていくにつれて、会員のなかにも中止もやむを得ないのではという考え方も強まり、また裏方スタッフとしても活動したくないという人まで現れました。

 よって、詰パラ9月号締め切り原稿等の事情もあり8月11日に詰パラHPにて中止の公表となりました。

これは振り飛車と云えるのか

 指し将棋は振り飛車党のため基本的に振り飛車の将棋しか追いかけない。最近のタイトル戦は振り飛車の期待薄であるが一応出だしの確認だけはするようにしている。名人戦第5局でも渡辺2冠の84歩をみてサイトを切り替えていた。しばらくして、ツイッターで後手が「陽動振り飛車」をしているとの情報が入った。急遽みることにした。なるほど四間に振っているが、居飛車穴熊でもないのに藤井システムみたいに居玉でいる。指してる人の影響か、振り飛車らしい駒捌きが感じられない。鈴木大介9段は「これは振り飛車ではない」とコメントしたそうだが、矢倉中飛車振り飛車とはいわないように、私もそのような類に感じた。まあ、振り飛車もどきであったとしても、この飛車がどういう働き方をするのか2日目の対局も注視することにした。この飛車はのちほど82飛車ともとに戻って活用されることになった。やはり42飛は仮の宿だったのか。正統振り飛車というものは振った先々で飛車の使命を全うするものである。

今回の詰将棋:19手詰(銀冠問題)

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