ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

北九州将棋フエステイバル

 9月16日に標記のイベントで小倉に行ってきた。
この大会は今年で25回を数え、以前は3月に開催されていたが近年は秋の開催となった。
 午前中は事前に申し込みをされた人々に対して指導対局が行われた。
どの棋士から指導を受けるかは当日まで分からない。
私は谷川浩司九段に指してもらうことになった(手合いは飛香落ち)。
これまでいろんな将棋イベントに参加するさい、谷川九段とお会いするたびに挨拶は交わすのだが将棋そのものを指してもらうことは初めてであった。
めったにないことであり、人生の良き思い出となった。


 途中図(43手目)は上手が下手の石田流の駒組を牽制すべく84銀と上がったところである。
これを受けて下手は65歩以下、総攻撃を開始した。
65歩に対して73銀と引かれた手が少し意外に感じた(75歩には同角とする予定)。
上手は銀桂交換に応じて、99角成ともたれて指してきた。
下手・64角が強手。64銀〜74飛と進出したあたりでは、下手の攻めは切れないのではないかと感じた。
収束、下手の77桂から89香が決め手となり、上手は投了された。

     ▽34歩   ▼76歩 ▽44歩  ▼16歩 ▽42銀  ▼15歩 ▽32金
▼18飛 ▽43銀   ▼14歩 ▽同歩   ▼同飛  ▽13歩  ▼16飛 ▽62玉
▼75歩 ▽72玉   ▼76飛 ▽62銀  ▼96歩 ▽64歩  ▼74歩 ▽同歩
▼同飛  ▽73銀   ▼76飛 ▽74歩  ▼97角 ▽54銀  ▼77桂 ▽45歩
▼68銀 ▽62金   ▼66歩 ▽44角  ▼67銀 ▽43金  ▼48玉 ▽94歩
▼58金左 ▽63金   ▼56銀 ▽84銀  ▼65歩 ▽73銀  ▼85桂 ▽99角成
▼73桂成 ▽同金    ▼64角 ▽44桂  ▼73角成 ▽同玉   ▼64銀 ▽62玉
▼74飛 ▽72香   ▼52金 ▽同玉   ▼72飛成 ▽62金  ▼81龍 ▽56桂
▼同歩  ▽66馬   ▼38玉 ▽65馬  ▼63歩 ▽同銀   ▼同銀生 ▽同玉
▼55桂 ▽74玉   ▼77桂 ▽87馬  ▼89香 まで76手で下手の勝。

FLASH(9月4日号)

藤井聡太を撃ち破った男たち」と題して、次の4人の棋士のインタビュー記事が掲載されている。
順に、大橋貴洸四段・上村亘四段・菅井竜也王位・増田康宏六段の4人である。

中でも注目したのは贔屓の引き倒しになりかねない菅井王位である。
彼の話しのポイントは次の四点にしぼられる。
1「若手はコンピューターを研究に使わざるをえない世代です。それだと個性がなくなり、フアンから飽きられてしまう。羽生世代は一手への理解の深みが違う。」

2「30年から50年たっても鑑賞される棋譜というものは、コンピューターが示した手ではなく、人間が編み出した将棋である」

3「私は連勝記録や勝率を評価しません。それよりもタイトル獲得や棋戦優勝の方が価値がある。」

4「詰将棋の計算力は藤井さんの方が私の10倍は速いでしょう。でも、実戦ははるかに複雑で、直感が求められる。どこまで読んでいるかなんて、数値で証明できない。証明できないものを恐れる必要はない」

*2で述べられている後世に残る棋譜の一つと云えば、大野・大山の振り飛車であろう。彼の振り飛車もその類いであろうし、またそうなってほしいと思っている。冒頭で、藤井将棋は好きではないと云いきっているが、100局指しても「振り飛車」が全くない藤井将棋への皮肉に聞こえないこともない。あえて人間くさい手にこだわりを持ち続ける彼の性分が全体的に感じられる内容であった。

王位戦福岡対局前夜祭

第59期王位戦第4局が8月22/23日に福岡市で開催されたが、その前夜祭が8月21日に西日本新聞会館・天神スカイホールで開催された。
開演15分前に受付を済ませたところ、ちょうど岡山・竜棋会のメンバーお二人と遭遇したので、3人で同テーブルに着席した。
主役の二人が登場して午後6時、開演。
たまにユーモアを感じつつも、冗長的な挨拶が20分ほど続いて本格的に始まる。
対局者の二人のまわりにはフアンの挨拶と写真撮影がかなり続いていた。
竜棋会の人とともに私もその輪に加わった。短い会話のひとときに明日への意気込みと体調などを感じ取るように心がけている。
 今回、岡山から博多へ新幹線で2時間で来れるのに参加者が少ないなと感じたので、竜棋会メンバーに尋ねたら第5局の徳島対局である程度、数をそろえて行きたいと云っていた。


明日の対局への展望で中田七段は戦型が振り飛車になるので、解説会などでも説明がしやすいなどと云っていた。今年、九州では女流棋士が2月に武富礼衣さん、5月に水町みゆさんと相次いで誕生した。武富さんは既に初段だが、こういったイベントでは華を添えた形になっていいものだ。二人のさらなる精進に期待したい。


JT杯福岡対局

 8月5日福岡国際センターへ行く。
JT杯は過去、久保王将や藤井猛九段など振り飛車が期待できる人の対局にしか行ったことがない。今年は12人の選抜棋士のうち、久保王将と菅井王位という期待の人がいる。
 PM2時半過ぎに会場入りしたところ、ちょうど「テーブルマークこども大会」の決勝戦2局が始まるところであった。
 このこども対局がなかなかの熱戦でプロ棋士の対局が開始されたのは午後4時を廻っていた。こども対局の2局は藤井聡太七段の影響なのか、ともに居飛車戦でどことなくまとまりすぎた印象を受けた。過去、振り飛車の力戦が多かったことを思えば、なんとなく寂しい感じがするのは私だけのことだろう。しかし、この先こどもたちが居飛車ばかりを指すと、空恐ろしくなってきそうだ。<聡太栄えて、振り飛車滅ぶ>という時代が到来するかもしれないからだ。

さて、プロ対局は振り駒で後手番となった久保王将が角換わり4間飛車を採用した。
途中図は「次の一手」として出題された。局面はなんとなく手が広く、35歩や37桂などが候補に挙げられたが丸山九段が指した手は66角だった(私は56角で予想をはずした)。
 終盤、後手もかなり迫ったが先手が終始余している感じだった。後手の取り残された左辺の金銀がそれを物語っていたのかもしれない。
 久保王将はあえなく1回戦敗退。「次の一手」と「勝利者予想」をはずしたので、対局終了後、早々に会場を後にした。残る期待は菅井王位だが新潟対局は遠いので、大阪対局へと勝ち進められたら、大阪へ応援に行きたいと思っている。 

第59期王位戦第4局を前にして

将棋界はいま、8大棋戦のタイトル保持者がそれぞれ違うという珍事に見舞われている。
 晴れの舞台で如何に「振り飛車戦」を観戦できるかということにしか、興味がない私にとって先の件はどうにでもしてくれという思いしかない。
 8人のタイトルホルダーのうち、振り飛車が期待できるのは25%に過ぎない。
その貴重な一人である菅井王位の防衛戦が進行中である。菅井王位は中飛車・向い飛車・中飛車と期待にたがわず、お家芸を披露してくれた。
直近の第3局が8月1日・2日に札幌で開催された。結果は157手で菅井王位の勝ち。


 さて、第4局は8月22日・23日に博多で行われる。
前夜祭に出向き、竜棋会の一員としても陣中見舞いをすることとしている。
2勝1敗で博多へ迎えることの意義は大きい。良き思い出となる前夜祭にしたいものである。

指し将棋は振り飛車で

 将棋を指していて序盤早々、飛車を振り終えるとなぜかホットする。
これで勝てそうだという気持ちになったことは一度もないが、なにかこれから始まる仕事の段取りを無事終えたという感じなのだ。人生にたとえるなら、この先どんなことがあっても頑張って生きていこうという風に力が湧いてくる。


 相手が飛車を振ってきたらどうするんだという意見もあるが、それはそれで楽しい。
相振りは未知の分野もあるのでこれまでと異なる人生の疑似体験ができそうなのでワクワクしてくるし、なんとなく相手側がこちらの人生観に似通ったような感じもしてきて、親近感すら湧いてくる。


 相振りを含めて二つの指し方を徹底できたことが私の将棋体験では大きかった。
それは詰将棋にさく時間を確保できたからである。「詰将棋あっての指し将棋」というどちらかと云えばマニアックな考え方なので子供たちに教えることはない。将棋の指し手に無限の可能性があるように、戦法にだっていろんな指し方があるだろう。幅広い間口を設けていた方が多くのプロ棋士の棋風なりを楽しめて良い。新しい将棋フアンが増える中、そうあってほしいし、又長続きするのに欠かせないのではないかと思うからである。

振り飛車の丸かじり

 アベマTV、ニコニコ動画で将棋中継を観ながら、最近、「振り飛車」の身の振り方について考えることが多くなった。
振り飛車」の身の振り方といっても、最初せいぜい4か所ぐらいではという問題ではない。世は少子化・高齢化が進展し、この先「どうなる日本」という感じであるが、将棋の戦い方も「もう一度、振り飛車」と興隆を願いつつ、まじめに憂えているのである。


 統計をとったわけではないがプロ棋士間の将棋に「振り飛車」戦が少なくなったように感じる。特に、藤井7段の登場後、あの29連勝を含め彼が飛車を振ったのをみたことは一度もない。わざわざ、振らなくとも将棋は勝てるんだよと身を持って示されると説得力がありすぎるのだ。如何なる世界であれ、卓越した強さにはそれになびいていくものである。


 そういったなか、女流の将棋には時折、オアシスを感じる。
「飛車を振れないようでは男も振れないだろう」という気概を持った人が多いからだろう。特に、相振りでは女子プロレスのような格闘技を感じさせられることがあり面白い。
さて、今後の楽しみは王位戦王将戦の番勝負である。もしも、あの二人が失冠すると、私の「観る将棋フアン」のテンションはますます下がり続けるに違いない。